「目の前にビジョンが広がる。瞬きの後,僕は,ビジョンの中へ。夏色の風が過ぎて,草木の匂いが鼻を過ぐる。指先のチャンネルを変えると,僕はスタジアムのど真ん中。バッジオの稲妻のようなシュートが鼻先をかすめる。再び指先のボタンを押す。君の肌の温度。鼻を突く情欲の扉。デジタルな僕と,デジタルなビジョンは,シンクロさせることができる。四角い枠に閉じこめられたテレビなんて,狭すぎる。」
リアルネットワークス社は24日,インテル社と共同開発したストリーミングビデオプレイヤー「リアルビデオ8」のベータ版を披露した。リアルビデオ8では,200Kbps接続でハーフスクリーンのVHS品質,500KbpsでフルスクリーンのVHS品質,広帯域にはDVDに近い品質を実現するという。
MSのウインドウズメディア,アップルのクイックタイムが必死に追いかけているのに,どうやっても追いつけないリアルネットワークスの力は,いったいなんなのだろうか。現代七不思議のひとつかな? 今回の記事ニュースも聞こえはいい。だが,これは取り立ててあげつらうニュースではない。我々は,テレビの四角い枠の中には,なんの希望も,なんの救いもないことを知っている。
ワイヤードは,もうひとつの現実と,なりうる。その中のデジタルビジョンに意味があるとすれば,我々が肉体を持ってその中に入り込めることだ。自らの身体をメタファライズし,視覚・聴覚・触覚のすべてをデジタル信号として配置した世界へと。たかがテレビなら,テレビで見ればいい。ウェアラブルを着込んで,ワイヤードをさまよう私が,映像に期待すること。それが,デジタル・ストリーミング・ビジョン。
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